キリンやカバなど野生動物が注目されるが、園内で唯一、動物に触れ合える施設がある。身の回りにいる家畜やペットを飼育する「こども牧場」だ。カイウサギやモルモット、アヒル、羊など8種類計約150匹を間近で見ることができる。 小学校にウサギやモルモットの貸し出しもしている。「チャコちゃん、また会いにくるからね」「チャコちゃん大好きだよ」―。幌加内小1年生14人が9月17日、牧場を訪れ、教室で約1週間飼ったモルモット(雌2歳)との別れを惜しんだ。児童たちは飼育員に飼育中の出来事や思いを手紙で伝え、動物への愛情と感謝の気持ちを次々に語った。 担当教師は「家畜やペットの関係をもう一歩進めて考えてほしいと思った。これまでは虫を捕ってきて飼うだけだったが、子供たちは生き物の温かみをじかに感じ、命の大切さを学べたはず」と話す。 動物の貸し出しは10年以上前からしている。近年は特に住宅環境でペットの飼育が難しい上、動物を飼う学校も減り、貸し出しの需要は高まっている。2013年は旭川市内の小学校を中心に10校へ貸し出したが、今年はすでに前年を上回る勢いだ。 飼育員の佐賀真一さん(34)は「お別れの時、泣きだす子供もいる。大切に育ててもらったんだと思うと、私たちももらい泣きしそうになる」と打ち明ける。 牧場は過去最低の来園者数だった1996年の翌年に開設。2006年には第2こども牧場を設け、面積を広げた。新施設完成や繁殖など園内も移り変わる中、この牧場では「動物のぬくもり」から「命の温かさ」を感じてもらいたいと、一貫した取り組みを続けている。 一角にはウサギやモルモットとの触れ合いコーナーもある。飼育員が1日4回、子供たちを中心に、膝にのせて接し方を教えている。飼育員の中村亮平さん(32)は「最初は怖がってドキドキして触る子供もいるが、一度触ったら、うれしそうな顔になる」と笑顔を浮かべた。(東久保逸夫) |