北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

ユキヒョウ*寒さしのぐ ふわふわの毛     2014/08/25
ヤマトの寝転がる姿を興味深そうに真下から眺める来園者たち

 「毛がふわふわで、もこもこ」「かわいい。こっちむいて」。カメラを持った来園者たちが、柵の上で寝転がるユキヒョウのヤマト(雄、5歳)を見上げ、シャッターチャンスを定めて歓声をあげる。ライオンやトラのいる「もうじゅう館」の一角で、愛らしいユキヒョウは注目を浴びる。

 ユキヒョウは、ふっくらした毛の質感が大きな特徴。ヒマラヤ山脈など標高4千メートル級の高山帯の岩場に生息し、寒さから身を守るため、長い毛に覆われている。足の裏は他のヒョウに比べてもひとまわりほど大きく、雪の上を歩く際、かんじきの役割を果たす。

 飼育空間は、岩場に木の柱を掛け合わせてつくられ、野生の生息域の環境に近い。ユキヒョウの身体の特徴を間近でみえるよう、来園者が下から見上げてみえるような展示の工夫が施されている。飼育員の高橋伸広さん(39)は「しっぽは約1メートルと体長と同じ長さ。毛の質感と足の大きさを間近でみてほしい」と話す。

 もともと夜行性で暑さに弱く、昼間は横たわった姿で愛嬌(あいきょう)を振りまくが、薄暗くなりはじめると次第に野生の本能をみせる。2メートル超はジャンプするという跳躍力を生かし、岩場をぴょんぴょんと駆け回るという。

 展示は1頭だが、もう1頭のユキヒョウ、ジーマ(雌、4歳)が室内で待機する。ユキヒョウは警戒心が強く縄張り意識が高いことから、毎日交代で1頭のみが展示される仕組み。2頭を引き合わせるのは、発情期を迎えた際に限られる。

 現在の2頭は繁殖適齢期を迎えており、同園は一昨年からユキヒョウの繁殖に挑戦。これまで繁殖は同園で成功していない。発情期に入ると、頻繁に鳴いてみせたり、互いに近寄ったり、普段みせない行動が表れる。飼育員がその様子を見て、総合的に2頭の顔合わせの時期を決める。

 高橋さんは「どの動物も繁殖は難しい。安心して子供を産めるような飼育体制をつくり、元気な赤ちゃんが生まれるようにしてあげたい」と話している。(東久保逸夫)


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