じゃれ合うシンリンオオカミの親子(旭山動物園提供)
今年5月6日、2頭の雌のシンリンオオカミが生まれました。母のマースは4回目の出産。今回初めて群れの中で出産しました。 オオカミは通常、家族単位の群れ(パック)で暮らします。旭山の8頭も夫婦とその子供たちで構成されたパックです。子供が生まれると、親だけでなく、群れの仲間たちも協力して子育てをします。旭山では2011年に夫婦で初の繁殖、12年にサブ放飼場(ほうしじょう)での出産のため夫婦だけで子育て(生後約1カ月ごろに兄姉と対面)、13年に寝室内で出産(出産後数日で赤ちゃんは死亡)という歴史があり、今回が初めてオオカミ本来の子育てを観察できる機会でした。 2月に母マースの発情と父ケンとの交尾を確認し、出産は早くて4月末と予想しました。春の連休に入っても出産の兆候が見られませんでしたが、5月5日に巣穴にこもる時間が長くなり、翌日の夕方には少しスリムになったマースの姿を確認できました。出産当日からマースと一緒に娘レラも巣穴を守り、他の個体を寄せ付けませんでした。それから数日間、マースが餌を食べに巣穴を離れてもレラが守る状態が続きました。その後はケンも巣穴に入るようになりました。 赤ちゃんは生後3~4週間は巣穴の中だけで過ごします。その間は常に誰かが巣穴の近くにいて、赤ちゃんを守ります。5月24日にマースが自分で掘った穴に赤ちゃんを移し、以降はその穴を巣穴として、子守番はノンノに変わりました。移動を機に姉から妹へ子守番を引き継いだようです。今では外に出てくる時間も長くなり、姉カント、兄ヌプリともあいさつしたり、大人たちに遊んでもらったり、元気いっぱい。 2頭の成長と、それを見守る両親、兄姉たちの行動も合わせて観察するのがお勧めです。(オオカミ飼育担当 佐藤和加子) |