北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

ボルネオオランウータン*パーム油需要が生息地圧迫     2014/03/31
屋内施設でリンゴを頰張るリアン

 オランウータンが熱帯雨林の木の上で動く様子を再現するため、ロープを張り巡らし、ハンモックやロッククライミング用の握りを設置した屋内展示施設「おらんうーたん館」。ボルネオオランウータンのリアン(雌21歳)が長い手を伸ばして動き回り、リンゴを頰張った。来園者は間近で見るリアンの動きに驚きの声を上げた。

 同園のボルネオオランウータン3頭は、こうした生態を伝えるだけでない。「野生の下での現状を伝える役割もある」と、飼育展示係の佐賀真一さん(34)は語る。

 ボルネオオランウータンはマレーシア・ボルネオ島の熱帯雨林に生息する。しかし現地ではパーム油を生産するアブラヤシの農園開発が進み、森林が減少。佐賀さんは「このままでは20~30年でオランウータンは絶滅すると言われている」と危ぶむ。

 屋内施設には旭川の小学生による手書き看板を掲示している。パーム油は日本でも菓子や化粧品、洗剤せっけんなどに使われている。看板では日本を含む先進国がパーム油を多く使用している現状を指摘した上で、「できるだけ使わないように心がけてください」と訴えている。

 自身もボルネオで動物の保護活動に関わる佐賀さんは、園内外で子供たちにボルネオオランウータンについての教育活動を展開。ボルネオでの経験を子供たちに伝えている。「子供たちはお菓子を買う時にパーム油を使っているか確認するなど意識が変わってきている。新年度もできれば継続したい」と意気込む。ボルネオオランウータンは4月7日までの冬期開園中、屋内で展示。26日からの夏期開園中は屋外の「オランウータン舎」で見ることができる。(佐藤圭史)


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