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サル舎で過ごすアビシニアコロブス(上)とブラッザグェノン。お互いを意識しつつ少し距離を置いて過ごしている |
体は小さいながらも俊敏でやや攻撃的なブラッザグェノンと、大きな体を丸めながらくつろぐことが多いもののジャンプが得意なアビシニアコロブス。 「お客さんは『お猿さん』とひとくくりにしがちだが、外見や行動は全く違う。食べ物の好みも異なる」と飼育員の奥山英登さん(37)は強調する。そんな姿を見てほしいと、昨春から同居させることに。同じ地域の動物を一緒に飼育する「共生展示」の一環で、旭山動物園が力を入れている展示方法だ。奥山さんは「この2種の同居は米国の動物園ではあるものの、日本では初めて」と話す。 当初は、ブラッザグェノンがアビシニアコロブスを攻撃することもあった。群れで襲った時は、奥山さんがブラッザグェノンを寝室に入れるなどするうちに次第に落ち着いた。 施設の右側は木登りが得意なブラッザグェノンが動き回れるように塩ビ管を増やし、左側はアビシニアコロブスがジャンプしやすいよう木を間引いたことも、すみ分けを促した。奥山さんは「今でもブラッザがコロブスの長い尾にちょっかいを出すこともあるが、お互いに程よい距離感を保ちながら暮らしている」。 ブラッザグェノンはバナナやリンゴなどのフルーツ類、アビシニアコロブスはピーマンやキャベツなどの野菜を好むため、食べ物の争いが起きないことも、一緒に暮らしていける要因という。 サル舎では3種類のサルを飼育し、アフリカで生息するこの2種は同居させているが、マダガスカルのワオキツネザルは別に飼育している。(中沢広美) |