北海道新聞旭川支社
Hokkaido shimbun press Asahikawa branch

旭山動物園だより

北海道産動物舎が新装*間近で観察 工夫随所に     2012/12/07
(上)鋭い爪で顔をかくオジロワシ
(下)体を丸め、あくびのようなしぐさをするキタキツネ

 悠々と羽を広げるオジロワシやオオワシ、じっと体を丸めるキタキツネ―。

 冬期開園が始まった11月18日、北海道産動物舎がリニューアルオープンした。北海道の森をイメージしてミズナラやカシワを所々に植え、通路の左右に大型バードゲージや小動物の飼育小屋を設けた。坂東元園長は「北海道の自然、動物に包まれる気持ちになってもらいたい」と設計の狙いを話す。

 以前の動物舎ができたのは30年近く前。飼い主に捨てられるなど、同園で保護される動物が増えてきたため、自然発生的に誕生した。もっと命を大切にしてほしい、動物園の主役を海外の珍しい種ではなく地元の動物にしたい―。新施設はそんな思いで造られた。坂東園長は「旭山の原点みたいな施設」と感慨深そうに語る。

 北海道の動物の魅力や暮らしぶりを知ってもらおうと、生態を間近に観察できる工夫を随所にした。例えばワシの営巣台を設け、子育てなどの様子を見られるようにした。エゾクロテンは、木の幹にくりぬいた巣の中で過ごす様子をガラス越しに眺められる。

 在来種のエゾタヌキと外来種のアライグマも並べて展示。エゾタヌキは洞穴の中で丸くなる習性があり、ガラス戸越しに真上からその姿を見られる。国の許可の関係で年明けに登場する予定のアライグマは、器用に木に登る姿や窓を開ける様子が見られそう。坂東園長は「外来種は本来、悪者ではない。暮らし方が違うから問題になっていることに思いをはせてもらえれば」と期待する。(中沢広美)


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