北海道新聞旭川支社
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旭山動物園だより

高校生が電気自動車*小熊のように愛らしく     2012/11/02
サポートセンター近くにお目見えした電気自動車「POLAR」。製作した杉下さん(左)、藤生さん(右)と指導した青山亮介教諭

 愛らしい耳と鼻、小柄なボディーはまるで小熊?―。

 ぺんぎん館向かいのサポートセンター近くに10月下旬、ホッキョクグマをイメージした1人乗りの電気自動車「POLAR」がお目見えした。英語でホッキョクグマを意味する「Polar Bear」から名付けた。

 作ったのは旭川実業高自動車科の生徒たち。今春卒業した2人を加えた4人で、アクセルやブレーキも自分たちでつくった。フル充電で1時間走行でき、最高速度は時速25キロ出せるよう仕上げた。

 だが、3年の杉下唯さん(17)は「最もこだわったのは、ホッキョクグマらしい質感を出すこと」と話す。丸みを帯びた車体は、断熱材の板を何十枚と重ね、丁寧に削って作った。耳と鼻に加え、タイヤにはホイールカバーを付け、足跡を描いた。

 外側も「普通に塗装しては、つまらないと思った」と杉下さん。ふわふわした毛を表現しようと、外壁の塗装をして凹凸を付けた。

 自動車科の生徒たちは普段、車の整備などを学んでおり、製作は初めてだった。ブレーキがきかないなど試行錯誤を繰り返し、完成までに約3カ月かかった。3年の藤生颯生(りゅうせい)さん(17)は「苦労も多かったけど、楽しかった。何より、思っていた以上にうまくできてうれしい」と喜ぶ。

 2月の「札幌モーターショー2012」の一環として行われた「北海道ハンドメイドエコカーコンテスト」に参加し、グッドデザイン賞を受賞した。

 園内に展示すると早速、親子連れの観光客たちが「すごい」「かわいい」と喜んだ。それを見た2人も満足そう。「つくったかいがあった。多くの人に見てもらえれば」と期待している。

 3日の夏期開園終了まで展示し、18日から始まる冬期営業でも場所を変えて展示する予定。POLARを使った園内でのイベントも検討している。(中沢広美)


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