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家族が見守る中、カントの上に乗って遊ぶノンノ
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元気に駆け回り、「オォーン」と勇ましい遠ぼえを響かせるシンリンオオカミ。この春、双子の姉妹が生まれた。元気な盛りの姉妹を、父母や兄姉が優しく見守っている。 4年前にオープンした「オオカミの森」は、かつて北海道に野生のオオカミが生息していたことを感じてもらおうと、自然に近い姿にしている。旭山動物園ではそれまで、オオカミ1匹のみを飼育する時期が長かったが、新施設完成後、夫婦の飼育を始めた。昨年、21年ぶりに自然繁殖に成功し、三つ子が誕生。今年も4月に双子が生まれ、一家は7匹になった。 飼育係の大西敏文さん(38)は「オオカミは自然界では、家族で群れをつくって過ごす。やっと施設の目的が達成された」と感慨深そうだ。 双子の名前はカントとノンノで、アイヌ語で空と花を意味する。大西さんは「アイヌ民族の時代、人とエゾオオカミは共存していた。現在も人と野生動物が共存していきたいと、その頃をしのんで名付けた」。 カントとノンノは時にけんかもするが、すぐに仲直り。2匹並んで寝そべっていることも多い。父のケン(5歳)や母のマース(4歳)も餌を与えたり、じゃれ合ったり。 しかし、大西さんは「オオカミは家族間でも、父と母をトップに序列をつくる。生まれたばかりの子供は最も大切にされるが、カントとノンノもあと2~3カ月すると、オオカミのおきてを知ることになる」と自然界の厳しさを語る。ストレスで自分の子供も食べてしまうこともあるオオカミだが、現在は非常に仲が良く、家族だんらんの姿を見ることができる。(中沢広美)
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