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雪上を元気よく歩き回るホッキョクギツネ
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ふわふわとした白い毛皮で身を包むホッキョクギツネ。道内で唯一、飼育している旭山動物園では雄1匹が暮らしている。白い毛は白い雪に紛れ込んでしまい、「どこにいるの?」と探す見学客と“かくれんぼ”をしているかのようだ。 ホッキョクギツネはその名の通り、ロシアやカナダなど北極圏のツンドラ地帯や海岸地帯に生息する。「白い毛は極寒の地を生き抜く特長の一つです」と、飼育担当の中村亮平さん(30)は話す。 白い毛は、11~5月ごろに生える冬毛で、防寒着のようなもの。氷点下70度でも耐えられるといい、今冬の最低気温が氷点下30度となった旭川でも難なく過ごせる。足裏にも生え、氷や雪の上を歩くのも平気。白い雪の中に溶け込む保護色の役割もあり、ホッキョクグマのような大きな動物から避けられる。 また、鼻面が短く、耳や手足が小さいのも、体の表面積を小さくすることで体温が奪われるのを防ぐ意味があるという。「かわいらしい顔つきにも、ちゃんと理由があるんです」と中村さん。 夏毛には5月ごろから生え替わるが、灰褐色で短く、夏のホッキョクギツネはまるで別の動物のようになるという。冬と夏に動物園に足を運び、変化を見比べるのも面白い。 飼育舎では見学客に近寄って行くなど、人懐っこいしぐさも見られる。中村さんは「北極圏では天敵が少なく、キタキツネなどに比べ警戒心が小さいのかもしれない」と考えている。同じ北極圏に暮らすホッキョクグマなどと合わせ、北極の冬を想像しながら見学するのも楽しそうだ。(鈴木雄二)
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