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父のケン(4歳)とじゃれ合う子供たち |
旭山動物園の「オオカミの森」で5月に誕生したシンリンオオカミの三つ子のきょうだいが、すくすくと成長している。同園での自然繁殖は21年ぶりで、家族愛に包まれながら元気よく走り回る子オオカミの姿は、来園者の心を和ませている。 きょうだいは5月5日未明、母のマース(3歳)がオオカミの森の巣穴で出産した。誕生当時は800グラムほどだった体重は、今では約10キロに増加。「週ごとに一回り大きくなっている。1年後には親と同じ大きさになりますよ」と、飼育担当の大西敏文さん(37)が教えてくれた。 3匹の名前はアイヌ語からつけた。雄が山を意味する「ヌプリ」、雌が朝日を意味する「チュプ」と、風を意味する「レラ」。かつて北海道に生息していたエゾオオカミと共存していたアイヌの人々への敬意を示した。 オオカミは家族の絆が強い動物といわれる。「オオカミの森の5匹からも、家族愛の大きさを観察することができる」と大西さん。 例えば、子供同士でじゃれあいながら遊んでいるとき、両親は岩の上で寝そべっている。一見無関心そうに見えるが、常に耳を子供たちに向けて立て、鳴き声が聞こえれば心配そうに様子を確認しに行くという。 食事も親が寝室に取りに行って、子供たちに分け与えている。おなかをすかせた子供が、ご飯のおねだりに親の口をぺろぺろなめるしぐさも、良好な親子関係の証しだ。大西さんは「オオカミの森は今が、最も平和で幸せな時間なのでしょう」と目を細めていた。(鈴木雄二)
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