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新しく旭山に仲間入りしたエゾクロテン |
道内の動物を展示する北海道産動物舎にイタチ科のエゾクロテンが仲間入りした。身近にすむ生き物でありながら、これまで生態などがあまり知られていない。愛嬌(あいきょう)ある顔立ちと俊敏に動き回る姿が人気を集めそうだ。
エゾクロテンは道内全域にすむ。体長約50センチで、ふさふさと長いしっぽを持つ。現在は夏毛に生え変わり、グレーがかった体色。黒くて大きな目と鼻は愛らしいが、野生では野ネズミやリスなど小型哺乳(ほにゅう)類の天敵として恐れられている。
旭山で飼育している個体は5頭。アライグマなどの農業被害を防ぐため、旭川市内に仕掛けられた箱わなにかかったものを保護し、展示しているのはそのうちの雄2頭だ。
夜行性のため、昼間は餌を食べるとき以外は巣箱で寝ていることが多い。木登りがとても上手なので、1・5メートルと1・8メートルの高さの餌台を作製し、おりの中に5本の木の枝を巡らせた。飼育展示員の鈴木悠太さん(21)は「木の枝から飛び移る姿を見てほしい」。
鈴木さんが目標とするのがエゾクロテンの繁殖。飼育下での繁殖例はなく、繁殖生理について不明な部分が多い。道南では本来生息していなかったホンドテンが野生化して増え、エゾクロテンとの交雑も起こっているという。
鈴木さんは「将来、純粋なエゾクロテンはいなくなってしまう可能性もある。飼育下での繁殖を成功させ、どのように環境を守っていけばよいかを考えたい」と話す。
(田辺恵)
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