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暗闇で目を光らせるキョン |
「てながざる館」の飼育スペースの一番奥の暗がりで、周囲をうかがうような瞳が光る。台湾や中国南部に生息する小型のシカ、キョンだ。1月下旬に旭山にやってきた。おく病な動物で、まだ警戒気味だが、4月下旬からシロテテナガザルと共生展示される予定で、どんな動きを見せてくれるか関心を集めている。
キョンは体長50~60センチ、シバイヌほどの大きさのシカ。雄には2本の角があり、上あごから長さ3~4センチの犬歯が2本見える。
東南アジアと中国南部に生息するシロテテナガザルとは生息区域が一部重複する。主に木の上で生活するテナガザルと、地上のキョンを共生展示することで、より野生に近い環境を再現する。担当の飼育展示係大西敏文さん(36)は「最初は驚くだろうが、お互いを意識して好奇心を持つだろう」と話す。
このほかにも旭山は、カピバラとクモザル、キリンとホロホロチョウなどを共生展示している。これらの動物も双方が適度な緊張感を保ちながら、暮らしている。
(小川郁子)
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