北海道新聞旭川支社
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永瀬充のGO!パラスポーツ

 22*悔い残らぬよう力尽くして     2019/01/21

 レスリングの吉田沙保里さんが引退した。五輪4大会連続でメダルを獲得し東京大会での活躍も期待されていたから残念な気持ちもあるが、記者会見のすがすがしい表情を見ていると悔いのない決意が伝わってきた。

 スポーツ選手にとって引退は付きものだ。引退する理由はそれぞれ異なるが、そこまでの道のりや思いを一言で語ることは難しい。

 私は19歳でパラアイスホッケーを始め、39歳で引退した。ソチ大会の出場を逃し、平昌大会を目指していたが、15年にアメリカで開催された世界選手権で自分のイメージ通りに体が動かなくなり引退を決意した。その大会前には引退することは全く考えていなかったが、何度かミスをした試合のあと、引退という2文字がふと湧いてきた。

 2020東京五輪・パラリンピックを目指し、この大会が最後と思っている選手も多いと思う。自国で開催される大会を目指すことは特別だ。精神的にも肉体的にも追い込まなければならない。

 2019年となり、出場権獲得のための大会や選考がこれから多くなる。開催国枠があっても国内で競い合わなければならない。目指す選手が全員満足した結果になることはないが、やれることを全てやり尽くし、アスリートとして悔いを残してほしくない。


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