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ななか窓 撮っておきインタビュー

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レストラン「ブランシュネージュ」 オーナーシェフ 瀬川健一さん<上>
  *「高級」捨ておふくろの味*フランス修行18年まごころ料理学ぶ
2005/03/11
瀬川健一さん
せがわ・けんいち 深川市生まれ。明治学院大卒。1974年単身渡仏。18年間パリ、ロアール、南仏地方の約25のレストランで料理人活動。79年パリ・ソフィテルホテル(4つ星)料理長。87年からパリでレストラン経営。92年帰国。96年旭川で「ブランシュネージュ」開店。有限会社「グランシェフ」社長。94年フランス料理アカデミー「ディプローム賞」受賞。56歳

――十八年間、フランスで料理の腕を磨き、フランス人よりフランスらしい料理を作るシェフとしての輝かしい地位を確立して九二年に帰国されました。なぜ首都圏などの大都会で高級料理店を持つという発想にならなかったのですか。

 「まず、北海道にご恩返ししたかった。具体的には大都会でフレンチの食文化を伝えるのでなく、北海道でだれからも愛される店、『おふくろの味』が楽しめる店を持つことでした」

――なぜ旭川で?

 「故郷深川に近く、ほどよい大きさだから。たまたま一時帰国したとき、この隣の教会で行われた妹の娘の結婚式に出席しました。パリ郊外を思わせるような素晴らしい町並みが気に入りました」

――日本でのフランス料理はどうも高級感が付きまといます。

 「たしかに一部の人しか行けない、敷居が高いと感じる人が多い。なぜ日本にそんな料理しか伝わらなかったのか。自分の目指すフレンチは複雑でしゃれた料理ではなく、素材がはっきりわかる、洋食を食べたこともないおじいちゃん、おばあちゃんにおいしいと言ってもらえるような料理です」

――私も何度かコースもいただきましたが、丁寧で味わいの深い料理。しかも割安です。オーナーシェフとして心がけていることは?

瀬川健一さん 「うちの献立表には難しいフランス語はありません。料理より高いワインでなく、テーブルワイン程度を置き、地酒(日本酒)も用意しています。フランス料理店で箸(はし)は使いたくても言い出しにくいもの。だから最初からナイフ・フォーク類とセットにして出しています」

――一流の料理を追求したフランス時代と、帰国後では瀬川さんの目指すものが変わったように見えます。そのきっかけになったのは?

 「帰国したとき、今も懇意にしていただいている帝国ホテル総料理長(現顧問)の村上信夫氏からいただいた『料理だけに終わらせるな』という言葉です。フランス料理の背景にある歴史、教育、習慣を伝えていくことだと理解しました」

――長い料理人生活を通して見たフランス社会は?

店内 「プロに徹している。特にサービス業は。これでメシを食っているというプライドはドアボーイもギャルソン(給仕)も持っています。そして若くても、仕事の出来る者が上という社会です」

――厳しいプロ集団の競争社会でのし上がるには想像を絶する努力があったでしょう。フランス料理を学ぶ外国人への差別は?

 「厨(ちゅう)房ではプライドがずたずたになるほど罵(ば)倒されながら修行しました。ゴミ箱を漁ってソースの味や、日本では見たこともない野菜の味を覚えました。でも実力をつければ外国人でも認めてくれました。先輩からしごかれる私の一部始終を見ていたのはアフリカ、中近東、東南アジアなどからの単純労働者でした。『お前はおれたちの誇りだ。立派なシェフになれる』と励ましてくれた。厨房で得たさまざまな『まごころ』が私の勲章であり料理人として原点です」


トップの一押し

仕事場ちょっと拝見  厨房の随所に工夫が凝らされている。たとえば調理台と仕上げ台の位置関係。作業の流れを切らないよう、できあがった料理はシェフが体の向きを変えるだけですばやく仕上げ台に移せる絶妙の間隔になっている。

 温めた皿に料理を盛り、仕上げ台に移すと、上から赤外線の熱が放射され、ソースをかけながらがっちり保温する。

 「フランス料理は生温かいものと思い込んでいる日本人が多いので」という瀬川さんの「まごころ」の隠し味だ


【データ】
■ 所在地/旭川市神楽岡8条1丁目1-12(ロマンティック街道)
■ 創業/1996年12月
■営業内容/フランス料理全般(ランチ、ディナーコース、一品料理)、レストランウエディング、料理教室、テーブルマナー教室
■営業時間/(昼)午前11時半〜14時(ラストオーダー) (夜)午後5時〜8時(同)。火曜休業(祝祭日を除く)
■従業員/7人   
■電話 0166−65−0851
■ホームページhttp://www.asahikawa.to/neige/

あとがき・むだ書き

 「日本の子供たちの味覚が失われつつある」という危機感をもつ瀬川さんには、地域の学校などで食の心をアドバイスするというもうひとつの顔があります。「トップが語る」は各回読み切りが原則ですが、一回分では伝えきれないと判断、インタビューを上下に分けることにしました。後編は「食料を使い捨てにすることは人の心を使い捨てにすること」という瀬川さんの思いを中心にお伝えします。


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 「トップが語る」のゲストは次回(三月二十五日)も瀬川健一さんです。
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