北海道新聞旭川支社
Hokkaido shimbun press Asahikawa branch

支社長のぶらり旭川 あっ地こっ地 漫遊記

vol.13 『江丹別』     2011/09/22

 北海道は、全国のそば作付面積の1/3を占める一大生産地です。その道内でのトップ3は、1位が幌加内、2位が深川、そして3位が旭川となっていて、この一帯は日本のそば生産の中心地と言っても過言ではありません。さらに、旭川をそばの一大産地として全国に知らしめたのが、江丹別です。今回は新そばのシーズンを迎えた江丹別を訪ね、その人気の秘密を探ってみたいと思います。※平成22年度北海道農林統計協会資料による

 旭川中心部から車を走らせること30分あまり。収穫を終えたばかりなのか、枯れ草色のそば畑が随所に広がり、新そばシーズンの幕開けを告げる景色に胸が高鳴ります。
  車を降りてぶらぶら歩いていると、収穫前のそば畑が見つかりました。つい先日までは真っ白な花で彩られていたであろう畑も、全体が黒っぽくなり収穫間近のようです。

 JAあさひかわ江丹別支所長の久積正一(ひさづみ しょういち)さんによると、現在、江丹別地区の作付面積は450haで、例年9月上旬から20日頃にかけて収穫が行われるそう。「昔は米作が中心でしたが、収穫前に雪が降ることもある寒冷地ですから、9月に収穫できるそばはこの地の実情に合っていたんでしょうね」と久積さん。
 さて、そばどころとしての江丹別の大きな特徴は、「収穫した全量を地元で製粉していること」にあります。玄そばのまま出荷するのではなく、地域が自前の製粉工場を持って、付加価値を付けている例は、珍しいのでは。

 久積さんの紹介で製粉工場を訪ねたところ、新そばへの転換期のため多忙な門木勉(かどき つとむ)工場長にお話を聞くことができました。「この工場は、1993年(平成5年)に当時の江丹別農協(現JAあさひかわ)と業界団体が出資して作ったものです。日麺連(日本麺類業団体連合会)、特に東京のそば店が国産そば普及に力を入れ始めていた頃で、品質の良い江丹別そばを安定的に供給してほしいと要望があったようですよ」。ちなみに、出荷量の8割は東京に送られ、道内の消費は2割ほどだとか。

 話を聞いているとお腹が空いてきました。製粉工場のすぐ横にある『そばの里 江丹別』に入ります。こちらはJAあさひかわが直営する、江丹別では唯一のそば店です。
  「もともとは『江丹別そば生産振興会』が、自分たちが食べるために立ち上げました」と話してくれたのは、同店の小林智子(こばやし ともこ)さん。店では5人を上限にそば打ちの体験もできるようなので、ご希望の方はお電話を。
 注文した『ざるそば』(600円)は、ひきたてらしいそばの香りがふくよかで、食べ応えのある印象を受けました。聞けば、グラム数は他店と変わらないそうですが、「そば粉が多いので“どしっ”とくる」のだとか。製粉工場の隣で、ひきたて・打ちたてのそばを食べるぜいたくは江丹別ならではの楽しみですね。

 食後の腹ごなしに、店から少し離れた場所にある「オンコ並木」を訪ねました。オンコの巨木が道路を挟んで立ち並ぶ、江丹別の隠れた名所です。
 江丹別出身の北澤治さんという方が故郷に名物をと思い立ち、ガンに侵された身をおして数年がかりでオンコの移植事業に取り組んだそう。先ほどお話を聞いたそば店の小林さんは北澤さんのめいとのことで、この並木にちょっと親しみがわいてきました。

 そばのイメージが強い江丹別ですが、車ですぐの場所にある「若者の郷」にはキャンプ場や市民農園などもありますし、隣接する牧場にはのどかな風景が広がります。そばだけでなくたくさんの魅力が詰まった江丹別を、皆さんもぶらり歩いて、新そばとおいしい空気を味わってみてはいかがでしょうか。

一期一会

JAあさひかわ 江丹別支所長
久積 正一(ひさづみ しょういち)さん

 地域で生産されるそばを全量、地場の工場で製粉しているのは江丹別だけだと思います。玄そば販売からそば粉販売に移行できたことで取引価格が安定し、作付けも安定しました。地元の人たちにももっと江丹別そばの魅力を知ってもらいたいですね。


いいもの、三塚った!

食べるもよし、
自分で打つもよし
『江丹別そば』

  『そばの里 江丹別』では、隣接する製粉工場でひいたばかりのそば粉の販売も行っています。中でも気になるのが『石臼挽粉』(1kg・1,470円)。粘りがあり、そばの風味が強いのが特徴だそう。色が白く甘みがある上品な一番粉、香りや風味に優れた二番粉、香りが強く栄養価が高い三番粉がそれぞれ調合されたものが各1kg・1,155円。好みに合ったそばを打ちたいというこだわり派におすすめです。手軽に江丹別そばを楽しみたいという方には、そばつゆの付いた『江丹別手折りそば』(1人前158円)など乾めんもあります。
  また、毎週水曜日午前10時より1名2,100円(税込)で手打ちそば体験も可能。ぜひお問い合わせを。

取材協力『そばの里 江丹別』
住所/旭川市江丹別中央
電話/(0166)73-2117
営業時間/11:00〜※18:00(※11月〜3月は17:00まで)
定休日/毎週木曜日

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