北海道新聞旭川支社
Hokkaido shimbun press Asahikawa branch

ヒューマン

岡本千晴さん(44)*おやこ寺子屋代表*地域の子育て拠点目指す*絆を強める遊びと食  2017/09/03
おかもと・ちはる
1973年、東京都出身。94年に玉川学園女子短大(東京都)卒業後、幼稚園教諭として勤務。06年に結婚を機に退職し、旭川へ。16年から旭川大短大幼児教育学科非常勤講師。「実は結婚するまで、ほとんど包丁を持ったことが無いんです」

 鍋やフライパン、バケツなど身近な道具を使って伸び伸びと外で自由に遊び回る子供たち―。地域の子育て拠点を目指して2013年に旭川市のボランティア団体「おやこ寺子屋」が市中心部で始めた遊び場の提供活動は、本年度から永山地区への出張も始めた。親と子のつながりをテーマにボランティアの幅を広げる代表の岡本千晴さん(44)に、活動にかける思いを話してもらった。(聞き手・旭川報道部 高田かすみ、写真・舘山国敏)

 ――おやこ寺子屋の活動について教えてください。

 「赤ちゃんから大人までが誰でも来ることができ、テーマを決めずに外で自由に遊べる『プレーパーク』を月3回月曜日に開催しています。1週目は神楽岡公園、3週目は北彩都子ども活動センター、4週目は永山市民交流センター前広場です。ボランティアは6人。3月までは市民活動交流センター・ココデを拠点に毎回テーマを決めて屋内でも遊んでいました。会場費として300円をいただいていた。遊びをお金で制限したくないと、無料で参加できるよう外にしました。外遊びは親子2人だと親がしんどい。みんなで見守れば、子供は思いっきり遊べるんです」

 ――始めたきっかけは。

 「結婚を機に旭川へ引っ越して来たのがきっかけ。当時は夫しか知り合いがおらず、外へ出るのも面倒で、旭川で子育てをするイメージが持てなかった。移住者や集団が苦手な人が集える場所があればいいなと。フェイスブックが普及した時期とも重なり、協力してくれるメンバーもいた。おやこ寺子屋の仲間と月に1度開く手芸部も好評です。『子供が小さいとき、危ないから針仕事ができなくてストレスだった』というメンバーの発言がきっかけで始めました。子供は誰かが見て、手芸に限らず絵を描いたりと、親が何かに没頭できる時間になっています」

 ――プレーパークは、フライパンやお玉など日常的に使う物で子供たちが楽しんでいる姿が印象的ですね。

 「子供はおもちゃではなく親のスマートホンで遊びたがるように、大人をまねして『やってみたい』と感じる。身の回りの物で遊ぶ力がつくと、発想力が広がり、生きる力にもつながる。遊びが楽しければ、その場所が好きになって居場所になる。飛躍するようですが、旭川で育って良かったと感じる子供が増えたらいいと思うんです」

 ――メニュー作りや調理など、北門町の子ども食堂の運営に携わっています。

 「市の乳幼児健診のアルバイトをしていたときに、偏った食生活をしている子供の多さに驚きました。夕飯がコーラだけとか。もともと食育に興味があって料理教室にも通っていて、先生から家庭料理の大切さを改めて教わったことも大きい。旬の食材を使った栄養バランスの取れたメニューを子供と一緒に料理しながら、本来の食事の良さを伝えたいです」

 ――ボランティアに注ぐエネルギーはどこから生まれるのでしょう。

 「自分にできる範囲でやっているだけですが、子供はよく遊べば、よく食べる。親もうれしいし、楽になる。親子の絆を強める上で遊びと食はつながっている。双方の大切さを伝える活動はやっと線でつながってきたばかり。まだまだこれからだと思うと、どんどんアイデアが浮かんでしまうんです」


戻る