北海道新聞旭川支社
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ヒューマン

小城公明さん(70)*V・GOLD最年長メンバー*おじさんバンドで盲導犬育成支援*募金への関心 演奏で喚起  2016/10/09
こしろ・ひろあき
1946年、旭川市生まれ。日大大学院修了後、76年に小城公明税理士事務所を開業、2012年に税理士法人小城会計事務所に改組。北海道税理士会旭川支部長、同副会長を歴任した。

 目の不自由な人の暮らしを支える盲導犬。育成には、市民からの寄付が欠かせない。旭川市の団塊世代の男性4人組バンド「V・GOLD(ゴールド)」は、13年にわたり、北海道盲導犬協会(札幌)への寄付を募るチャリティーライブを開いてきた。昨年、イベントを通じて寄付を行う団体として初めて、累計で盲導犬1匹分の育成費に相当する300万円の寄付を達成。現在は2匹目の分を目指す。最年長メンバーで税理士の小城公明さん(70)に、活動に込めた思いを聞いた。(聞き手・藤田香織里、写真・野沢俊介)

 ――なぜ、盲導犬の育成支援を始めたのですか。

 「所属する北海道税理士会が、北海道盲導犬協会の会計処理の外部監査に関わった際、育成に必要な費用の多くが市民の善意でまかなわれていることを知ったのがきっかけです。当初は道税理士会旭川支部として募金活動を行っていましたが、ライブを開けば、より関心を持ってもらえるのではないかと考えたのです」

 ――バンド結成ですね。

 「リーダーでギターの高野正夫さん、ベースの中野雅州(まさくに)さん、税理士仲間でドラムスの佐々木正行さん、ギターの私で、2003年に結成しました。高野さんは、学生時代に青江三奈さんのバックバンドを務めた実力派です。07年からは、ライブだけで300万円を集めてみようと年3、4回、ショッピングセンターなどで演奏。8年目の昨年2月、29回目のライブで約12万円が寄せられて、累計が305万円に達しました」

 ――ライブの雰囲気は。

 「演奏するのはベンチャーズだけ。私たちの世代にとってヒーローですから。バンド名には、ベンチャーズのコピーバンドとして金メダルを目指すという思いを込めています。必ず演奏するのは『パイプライン』。テケテケで知られるあの曲です。回を重ねるごとに、同年代の常連客が増えてきました。懐かしいリズムをうれしそうに聴いてくれます。盲導犬協会の方や盲導犬の利用者も、盲導犬と一緒に来場してくれます」

 ――当初は、来場者が数十人にとどまったこともあったそうですが、心強い助っ人が現れましたね。

 「旭川観光大使を務める歌手の伊東ゆかりさんです。知人を通じて協力をお願いしたところ、快く応じてくれました。これまでに5回出演してくれ、伊東さんの人気で、その度に来場者も募金額も増えました。伊東さんを迎えて昨年4月に行った1匹分の育成費達成記念ライブは、500人以上が来場し、過去最高の約36万円が集まりました」

 ――今後の活動は。

 「まずは2匹目の分を集めること。5年後がめどです。盲導犬も、老いれば引退する。利用者には新たなパートナーが必要になります。必要とする誰もが盲導犬と安心して暮らせることを願い、活動を続けます」


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