北海道新聞旭川支社
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ヒューマン

斎藤和範さん(46)*「ざりがに探偵団」主宰*住民参加でウチダザリガニ駆除*足元の自然伝えたい   2008/05/04

<略歴>
 さいとう・かずのり 稚内市生まれ。水産庁・北海道区水産研究所(当時)勤務の後、北大大学院地球環境科学研究科博士課程後期修了。旭川大非常勤講師を経て同大地域研究所特別研究員。道立旭川高等看護学院、道教育大旭川校の非常勤講師も務める。専門は自然環境学。

 道内で生息域を広げる特定外来生物ウチダザリガニ。はじめは食用に輸入されたが、在来種を捕食するなど自然環境に害を及ぼすため、現在は放流や飼育が禁止されている。自然の本来の姿を取り戻そうと、調査や駆除に取り組む「ざりがに探偵団」を主宰する斎藤和範さんに、手応えや抱負を聞いた。(旭川報道部 水島久美)

 −−「探偵団」の活動を教えてください。

 「在来種ニホンザリガニの生息調査と『ウチダ』の駆除です。『ニホン』の生息と沢の環境は密接な関係にあります。『ニホン』は、自然環境が保たれているかどうかの指標となり、調査すれば身近な自然環境がわかります。団員は幼稚園児から50代まで。子供は喜んで活動してくれるので、貴重な戦力です。講座に来る子供の影響で活動を始めた親もいます。会員は50人ほどですが、1回の活動に集まるのは10人ぐらいです」

 −−なぜ「ウチダ」の駆除を始めたのですか。

 「探偵団は最初『突哨山と身近な自然を考える会』(出羽寛会長)の調査班の一つでした。旭川近郊の沢で、『ニホン』や沢の生物の生息状況を調べていました。2005年に江丹別で『ウチダ』が発見されました。特定外来生物は環境省の防除認定がないと捕獲できないため、認定を取りました。生息状況を調べるうちに、仕掛けたカゴ一杯の『ウチダ』を見て、団員は『こんなにいるの』『(駆除を)やらなきゃ』という気になったようです」

 −−「ウチダ」の特徴は。

 「北米コロンビア川原産で、『ニホン』を捕食するだけでなく、河川や湖沼の動植物を食べ尽くす上、ザリガニペストも持っています。人間に影響はありませんが、『ニホン』など種類によっては感染すると死に至ります。イギリスでは生きたままの移動等は禁止されており、『ウチダ』のいる所で使った器具は、必ず消毒しなければならないという法律もあります」

 −−上川支庁が募集した駆除ボランティアの「ウチダザリガニバスターズ」には109人もの登録がありました。

 「ちょっとびっくりしました。こんなに関心を持ってくれているなんてと。外来種って、こんな生き物なんだと分かるだけでもいい。バスターズは環境省の防除認定を受けていないのでカゴは使えませんが、手捕りはできます。バスターズから探偵団入りしてくれる人が出てくるといいですね」

 −−外来種を完全に駆除することはできるのでしょうか。

 「『ウチダ』は、道北では江丹別川、天塩川、辺毛内川の3流域で確認されています。生態系はつながっているし、一度広がったものの根絶はたやすくない。でも、狭い範囲から一つ一つたたいて元の自然に戻していくことが大切。探偵団でいろんなことを学んだ子供たちが大人になって、それぞれの地域で足元の自然を知る大切さを伝えていってくれれば−と思います」

記者のメモから

 「図鑑をなめ回すように読み、山や川、海にも行く子供だった」斎藤さん。自ら教えている学生に春の花の名を挙げさせたら、庭で育てる植物ばかりが挙がって驚いたという。「自然の中に入ったことのない子供が多い。だから何が自然で何が在来種かを知らない」と指摘する。

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