北海道新聞旭川支社
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旭川ラーメン物語

久保田宏さん(67)*市立名寄大学(仮称)の初代学長に就任する*四大化で政策提言型の研究推進*地域住民が学べる場に 2004/11/21
久保田宏さん
<略歴>
 くぼた・ひろし 美深町生まれ。名寄高から北大医学部に進み、1982年、市立旭川病院胸部外科部長に就任。91年の名寄市立総合病院副院長就任と同時に市立名寄短大の講師になり、同短大の看護学科設立にも力を注いだ。93年から2003年3月まで同病院院長。現在は風連町立国民健康保険診療所長を務める。

 二○○六年四月から四年制の仮称・市立名寄大学への移行を目指す市立名寄短大。進む新校舎建設や教員の確保など準備の指揮を執るのが大学設置準備室長で、学長に就任予定の久保田宏さんだ。少子化の進展で大学入学者数減少が全国的に進む中、大学と地域社会とのつながりや、四年制移行(四大化)の意義などを聞いた。(名寄支局 ◆谷武史)

 −−開学まであと一年半です。あらためてお聞きしますが、四年制移行の必要性は、どこにあるのでしょう。

 「全国的に見ると、十八歳人口は減少していますが、四年制大学に進学したいという高校生が増えています。社会も高度な専門知識を備えた人材を望んでいます。教育内容や立地条件がよほど良くなければ短大の生き残りは難しい。道北は農業・医療・教育を三本柱にして、地域振興策を練っていかなければならない。四大化により、地域の将来を見据えた政策提言型の研究を進めることなどが可能になります」

 −−どのような大学にしたいですか。

 「地域社会から信頼される大学ですね。具体的には、生涯教育の場として地域住民が学べる機会を多く持てる大学です。そのために事務局に『地域連携課』を設けようと思っています。同課が中心となって住民から看護、福祉、栄養の三学科それぞれの分野で学習したいテーマを吸い上げる。農家などからは研究テーマを募り、地域振興に役立つ研究を実施していく。教育面では、三学科を幅広く学習できるカリキュラムを編成し、『高度な職業人』を育成・輩出していきます。一年生のうちから就業体験の機会を持たせて、職業意識を高めることも考えています」

 −−準備はどの程度進んでいるのでしょう。

 「教員確保があと一歩ですかね。現在四十人の教員を、六十五人に増やす計画なのですが、目標達成まであと二人。看護、栄養学科の教員各一人です。めどはついたと考えていますが」

 −−入試制度はどうなるのでしょう。受験生も関心を抱いています。

 「初年度は短大と同じ。○七年度からは大学入試センター試験を導入します。二次試験をどうするかは検討中です。推薦制度の導入や、学生の一定数を、地域枠を設けて選抜することも考えています」

 −−学生数は確保できるでしょうか。

 「今年の夏から、教員が道内や東北の高校を訪ね、大学の特色を説明しています。『進路指導の際は名寄を紹介して』と要望もしました。進路指導の先生も大変興味を示され、確かな手応えを感じています。心配はしていません」

 −−名寄日中友好協会長として長年、中国との交流に力を入れてこられました。

 「名寄市立総合病院長時代に中国の医療レベル底上げのため、多数の中国人研修生を受け入れてきました。このつながりを生かし、中国の医科大との間で、毎年四人程度の留学生を交換することも検討しています」

 −−四大化は地域をどう変えるのでしょう。

 「市立大学なのですから、スポンサーは市民です。大学の多彩な研究能力と市民一人ひとりの知恵をうまく結合させられれば、道北地域の未来は明るく輝くと確信しています」

<記者のメモから>
 「地域活性化のためのグランドデザインを描くのが大学の役割」と、久保田さんは大学を地域シンクタンクと位置付ける。そこで生まれた知恵を政策として反映させていくのは「司令官」である市長の役割。スポンサーである市民も、大学を存分に活用していくべきだろう。そして記者も、研究成果などをわかりやすく市民に紹介し、さらには地域の要望を大学側に伝えていく役割を果たしていかなくてはならない。

(注)◆は「糸へん」に「白」

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