北海道新聞旭川支社
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北極星

嶋崎暁啓(豊富・NPO事務局長)*遠方の常連さん   2014/06/27

 爽やかな風にエゾカンゾウの花が揺れる。広大な空と地平線まで続くエゾカンゾウの群落。パンフレットの写真のような眺めが目の前に広がる。それだけでも十分に心癒やされる景色だが、サロベツ湿原の本当の魅力はエゾカンゾウの足元にある。

 立ち止まってよく見ると高層湿原を代表するツルコケモモがミズゴケの上でピンク色のかわいい花を咲かせている。高さ5センチ程度、花の直径は1センチあるかどうか。カタクリの花のように花びらが反り返っている。満開の場所では、ピンク色の小さな星たちが若草色のじゅうたんの上で遊んでいるようだ。木道散策の際は、大きく目立つ華やかな花も、ひっそりと咲くかわいらしい花も、ぜひ両方楽しんでいただきたい。

 さてこの季節、毎年のように湿原センターに来られるお客さまがいる。京都在住のそのご夫婦と初めてお会いしたのは3年前の6月半ばのこと。「旅の記念に」と案内カウンター前で一緒に写真を撮っていただいた。スタッフと写真を撮られる方は珍しいので印象に残ったが、それから丸1年、再びご夫婦が来館された。しかも、前年に撮ったスタッフ全員分の写真をお持ちになって。そして3年目の今年、やはり6月中旬に写真を持って見えられた。

 お二人にとって、この場所が特別な存在になっていることをとてもうれしく感じる。そして、見えない絆でつながっているような温かい気持ちになる。ご主人が運転される車の旅なので「今年が最後かもしれない」と毎年話されているが、ずっとお元気で、また来年もお会いできることを心から楽しみにしている。

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