北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

カピバラなどの動画配信*日々の営み 大きな反響   2020/03/22
カピバラが餌を食べる様子をスマートフォンで撮影する飼育員の佐藤さん(宮永春希撮影)

 「あー、かわいい」。3月11日、屋内展示施設「かぴばら館」で飼育員の佐藤和加子さん(39)がガラス越しにスマートフォンで動画を撮影した。写すのは黙々と餌を食べるカピバラ姉妹のはるみとはるか。何げない日常の1こまだが、姉妹の動画を旭山動物園の会員制交流サイト(SNS)に投稿すると、瞬く間に再生回数が伸びる。

 旭山動物園は昨年度からツイッター、フェイスブック、インスタグラムとSNSを使った動画や写真の配信に力を入れている。担当の佐藤さんが各飼育員から動画と文章を募集し、坂東元(げん)園長に最終確認をしてもらい投稿する。

 「何がヒットするか分からない」と佐藤さん。狙って撮影した動画よりも、ウサギがぽりぽりと音を立てて草を食べる様子や、エゾタヌキが雪をかき分けて突進する姿など、「のほほんとした動画」が人気という。動物園ではあまり目立たない動物たちが、SNS上で脚光を浴びる。

 爆発的に拡散されて「バズった」動画も。1月、カバの赤ちゃんが水中で泳ぐ動画をツイッターで配信すると、「人のように二足歩行をしているように見える」とこれまでに29万回再生され、テレビ番組でも取り上げられた。昨年3月にツイッターで配信した、キングペンギンのくちばしが1年に1回はがれるという写真付きの投稿も人気だった。佐藤さんは「飼育員が当たり前と思っていたことに大きな反響があり、驚いている」と話す。

 SNSを活用する動物園や水族館は多い。道内では新型コロナウイルスで市民の外出控えが続く中、臨時休園中の札幌市円山動物園がツイッター上で「今日の円山動物園」として動物の動画を毎日配信。登別市にある水族館・登別マリンパークニクスも「オンライン水族館」と題してイルカやオットセイの写真、動画を投稿している。

 旭山動物園も来園者が減少する中、積極的に情報を配信する。佐藤さんは「外出できず退屈している人に、動画を通して癒やしを届けたい」と話している。(若林彩)


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