北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

 増す食欲*冬を乗り切る準備    2018/11/05
【写真説明】エゾリスのエサにするため、くりぬかれたカボチャのわた(右)。ここから飼育員が種を集める

 めっきり寒くなり、そろそろ白いものが空から落ちてくる季節になりました。

 この時期、北方系にすむ動物たちは食欲が増します。寒い冬を乗り切るために、たくさんの脂肪を蓄えるのです。夏場の1・5倍のホッケを与えるアザラシは、厚さ10センチの脂肪をまとい丸々と太ります。野生のヒグマは冬ごもりに備え一番食べたい時期。そこに大量のサケが遡上(そじょう)し、クマのおなかを満たします。

 自然の循環とはうまいことできているものです。もうじゅう館のヒグマ「とんこ」も食欲が増しますが冬ごもりはしません。一定量のエサが毎日食べられるので冬眠する必要がないのです。でも食欲が増すのは野生と変わらないようです。

 とてもありがたいのが、みなさまから届けられる野菜の寄付です。ジャガイモ、ニンジン、トウモロコシ、カボチャなど「形がふぞろいで売り物にならないから動物たちに使ってください」と運んで来てくれます。

 傷んだものは与えられませんがふぞろいくらいは気にしません。タヌキやエゾシカ、ニホンザルたちに大量の秋の味覚が振る舞われます。エゾリスの担当者はカボチャの実には目もくれず、みんなが取り除いたカボチャの種を集めています。わたから種だけを洗いとる作業はなかなか手間がかかりますが、リスたちのために毎日内職です。寄付していただいているみなさま、いつもありがとうございます。

 こんな人もいます。本州に住むカバが大好きな女の子が、自分のおこづかいでキャベツを買って、毎年持ってきてくれるのです。彼女は一日のほとんどをカバ館で過ごし、やさしい目でカバの「百吉」と「旭子」を見つめています。私たちも彼女と会うのが楽しみです。

 そんなこんなで寒い季節を迎える旭山。この冬、動物たちはどんな姿を見せてくれるでしょうか?みなさんもあったかい格好で冬の旭山動物園に遊びに来てくださいね。

 そういえば、最近私も腹が出てきたのは冬を乗り切る準備なのかなぁ…。(副園長 中田真一)

 旭山動物園は11月10日まで休園中で、11日から冬季営業。


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