北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

 イワトビペンギンのひな*小さな体で好奇心旺盛    2018/07/23
親鳥に甘えるイワトビペンギンのひな(大島拓人撮影)

 ぺんぎん館で4年ぶりに生まれたイワトビペンギンのひなが元気に育っている。5月6日に産卵、6月7日にかえった。いま、ひなが親鳥にえさをねだるほのぼのした姿が見られる。

 旭山育ちの5歳の雄と6歳の雌のペアの初めての繁殖成功。「久しぶりなので喜びも大きいです」と飼育担当の佐藤伸高さん(33)は目を細める。

 イワトビペンギンは目の上の眉のような黄色い飾り羽が特徴。目とくちばしは赤く、足はピンク色だ。ひなの目は茶色でくちばしも黒っぽいが、徐々に赤みが増し、1年ほどで成鳥になる。「羽が生え替わる来年の夏ごろには、ひなにも黄色い羽が出てきます」と佐藤さんは成長を見守る。

 南米大陸南部や南大西洋南部の島々に生息し、成鳥は体長約50センチ、体重約3キロ。旭山で飼育中の4種のペンギンの中で最も小型で、移動のとき両足をそろえて跳びはねることが名前の由来だ。ジャンプ力はかなりのもので、岩山を伝って屋根の上まで登ってしまう。屋外展示場の岩山の周りにはフェンスを張り、飛び出すのを予防している。

 ふ化直後のひなは体重51グラム、体長約7センチだった。過去には体重100グラムほどで生まれたひなもいて、かなり小さい。誤嚥(ごえん)を避けるため、親鳥はひながおなかをすかせて鳴いた時にしかえさを与えない。佐藤さんは「体が小さいと元気に鳴けないことが多いので、えさをねだることができるか心配でした」と言うが、ひなの体重は順調に増加。7月19日には2400グラムになった。好奇心旺盛で巣の周りをうろうろ歩き回っている。

 毎朝の体重測定のため、飼育員が親鳥からひなを離そうとすると、つつかれたり硬い羽でたたかれる。腕に生傷が絶えない佐藤さんは「親鳥はひなが奪われないよう必死に抵抗する。動物園にいても強い本能は変わらないんだなと思いますね」と言った。

 園内で飼育するイワトビペンギンはひなを含めて10羽になった。佐藤さんは「同じペンギンでも種類によって特徴が異なります。『かわいい』だけでなく、その特徴をじっくり観察してください」と呼び掛けた。(宗万育美)


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