北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

 ゴマフアザラシの「ましろ」と「まくろ」*急成長遂げ判別難しく    2018/05/21
この数カ月で急成長し、大きくなった「ましろ」

 現在「あざらし館」では、ゴマフアザラシを7頭飼育しています。残念ながら、今年は出産を見ることはできていませんが、去年生まれの「まくろ」と「ましろ」は元気にすくすくと成長しています。「ましろ」は生みの親に育ててもらうことができず、母乳をもらえていなかったせいもあるのか「まくろ」と比べ体がとても小さく心配でした。

 よく来園者から「どれがどの子か判別がつくのですか?」と聞かれるのですが、飼育員たるもの、個体の識別ができなければ、どのくらい魚を食べているのか、健康状態はどうかなど判断のしようもありません。恐らく飼育員が最初に身に付ける必要があるのが個体識別をする能力だと思います。

 ゴマフアザラシは名前のとおり、個体ごとに違ったゴマ模様があるので、判別は付きやすいのかなと感じます。慣れてくると、それぞれのクセや表情があり、動いていると模様でなくとも判別がつくようになってきます。しかし、つい先日、もぐもぐタイムで「まくろ」だと思って魚を与えていた時、ホッケを食べる時の顔がいつもと違うなと思ったのですが、横の方から本物の「まくろ」がやってきて戸惑いました。エサをあげていたのは実は「ましろ」だったのです。

 「ましろ」は体が小さかったので、ぱっと見で分かっていたはずが、この数カ月の間で、どちらが「ましろ」か「まくろ」なのか、体の大きさでは判別がつかなくなるほど、急成長を遂げていました。

 あざらし館の放飼場では、アザラシ以外にも、オオセグロカモメとオジロワシを飼育しています。彼らは何らかの事故で片翼が折れてしまい、野生から保護されてきたのですが、もう空を飛ぶことはできません。われわれ人間の生活が豊かになっていく一方で、飛行機や風車などの人工物に衝突してけがをしたり、命を失う野生動物もいるのだということを忘れないでほしいという思いで展示しています。

 私自身、4月から飼育担当となり、まだまだ彼らには威嚇される毎日です。最低限の距離感を保ちつつ、心を許される日が来ることを待っています。(あざらし館担当 鈴木達也)


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