北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

 カピバラとクモザル*共生展示再開へ慎重に準備    2017/09/08
7月に旭山動物園にやって来たカピバラの姉妹。時には追いかけっこをすることもある

 7月に旭山にやって来たカピバラの姉妹が、元気いっぱいだ。同園ではクモザルとカピバラを同じ施設内で飼育する「共生展示」を2005年から行っていたが、昨冬、3匹いたカピバラが病気などで死に、約5カ月間、不在だった。同園はカピバラが環境に慣れるまでクモザルとの同居を控えており、来年の夏季開園からの共生展示再開に向け、慎重に準備を進めている。

 カピバラは南米に生息する世界最大のネズミの仲間。旭山は1980年代に道内で初めて飼育を始め、現在飼育しているのも日本動物園水族館協会(東京)に加盟する園では道内唯一だ。

 寒さに弱く、屋外で見られるのは夏季開園中のみ。飼育担当の白木雪乃さん(36)は「意外に足が速いなど、おっとりした見た目とのギャップが魅力で人気は高い」と話す。

 クモザルとの共生展示は05年8月、「くもざる・かぴばら館」の開館に合わせて始まった。森林の樹上で生活するクモザルのため、同館内には高さ約7メートルの柱にロープを張り、ジャングルの木を模した。地上には日中を水中で過ごすカピバラ用のプールを用意、「すみ分け」を意識している。

 7月にとべ動物園(愛媛)から来園した2匹はともに2歳の姉妹。体重もまだ30キロ程度で体も小さい。実は8月上旬に試験的にクモザルと同居させたが、カピバラに興味を示したクモザルがちょっかいをかけ、カピバラも応戦する構えを見せたため「まだお互いの距離感をつかめていないと判断し、同居は約2週間で中止した」と白木さん。

 両者の同居を巡っては、05年の同館開館直後、カピバラにかまれたクモザルが死ぬ事故が起きている。白木さんは、カピバラの成長と環境への適応を待ち、もうすぐ迎える冬の間にクモザルと隣接した寝室で飼育し、徐々に互いの存在を認識させる考えだ。

 現在は午前中にクモザル、午後からカピバラをそれぞれ展示中。白木さんは「姉妹で追いかけっこをしたり、鳴き交わしたり。幼い時期しか見られない動きをぜひ見に来て」と話している。(川上舞)


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