北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

アビシニアコロブス*赤ちゃん元気 3世代仲良く    2017/04/03
仲むつまじい3世代家族のアビシニアコロブス。(後列右から時計回りに)母のアビ、アル、祖母カトリーナ、ルビ

 サルの仲間アビシニアコロブス一家に昨年12月17日、新たな家族が誕生した。11歳の雌アビが産んだ雄の赤ちゃんアルだ。いま母親に抱かれながらすくすくと育つ姿は、なんともほほ笑ましい。

 アビシニアコロブスはアフリカ中央部に生息する。体長は約50~70センチ。真っ黒な体と、顔まわりや尾の真っ白な毛が調和し、背中の白く長い毛はV字に生える。マントを羽織っているような美しい姿が特徴だ。

 園内で飼育するのは現在4匹。22歳の雌カトリーナがおばあちゃん、そしてアビ、その息子の雄のルビ(1歳)とアルの兄弟だ。実はカトリーナの息子で、アビの夫のサミュエルが昨年8月、17歳で病死した。アルはその忘れ形見でもある。坂東元園長は「死ぬ前に命をつないだ。アルの誕生は感慨深い」と話す。

 アルの今の姿は大人ほど真っ黒ではなく、灰色がかっている。生まれたばかりの時は真っ白だった。成長とともに徐々に親たちの姿に近づくのだという。

 一方、大人っぽさを増すルビは今がやんちゃ盛り。カトリーナと取っ組み合いをすることもある。ただ3世代の様子を観察していると、祖母と母が代わる代わる子どもたちの面倒を見ていることが分かる。飼育担当の林豊枝さん(60)は言った。「もともと家族全体で育児をする種ですが、父親不在で一層家族が団結しているようにも見えます」

 樹上生活を送る彼らは木の葉が主食。1日に体重の3分の1もの葉を食べ、園では白菜やキャベツを与えている。その特徴から「リーフイーター」(葉を食べるサル)とも呼ばれ、大量の葉を消化できるよう、特殊な消化液を分泌する三つに分かれた胃を持つ。林さんは「エサを食べに木から下りてくる時が、活発に動き回る親子を見るチャンス」と教えてくれた。

 仲むつまじい3世代だが、今月9日までの冬期開園中はよほど暖かい日以外は公開されておらず、来場者が赤ちゃんの真っ白な姿を見ることはできなかった。29日から始まる夏期開園では「サル舎」で元気な一家の姿が見られる。(川上舞)


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