北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

カバ*百吉と旭子のペアリング期待   2017/01/23

 アフリカに生息しているカバにとって寒さの厳しい冬は、つらい季節です。

 しかし、旭山動物園の2頭の若いカバは屋外でも元気に過ごしています。長崎県生まれの雄の百吉(ももきち)(5歳)とメキシコ生まれの雌の旭子(あさこ)(4歳)です。太陽の光に当たることは動物にとっても大切なことです。

 百吉は今年7月で来園して4年。体も大きくなり、測定はできませんが、体重も1・5トンはありそうです。好奇心旺盛で、おっとりした性格です。旧総合動物舎のカバ放飼場では頭を振りながら軽やかに走ることも。野生のカバは時速30~40キロで走るといいます。

 記憶に新しいのは、かば館の屋内プールデビューの日。百吉が足場を踏み外して深さ3メートル超の深みへ沈み、私たちにも緊張が走りました。すると百吉は地面を蹴って飛び上がるように浮上したのです。カバのイメージが覆された瞬間でした。

 さらに、成長とともに歯が伸びて大きい口を開けながら水槽を傷だらけにしてしまいました。好奇心のある百吉は四六時中かじっていました。屋外プールに丸太を浮かべると今度は丸太をかじったり、背中に乗せたりして迫力ある様子が見られるようになりました。

 5歳になり、雄のカバらしいまき糞(ふん)が始まりました。まき糞は縄張りの主張と威嚇などの意味ですが、しっぽを振って糞やおしっこを壁や柱にまき散らします。餌の量もどんどん増えて、体もまだまだ大きくなるので今後も楽しみです。

 旭子は8月で来園3年です。百吉と比べると小さいですが、雌の体形になってきました。大変落ち着きのある愛らしく賢い性格です。旭子の愛称は「旭山動物園で子宝に恵まれますように」との思いを込めました。最近では、雪が降っていると外には出たくないと意思表示し、屋内プール側の扉の前から動こうとせず、怒る態度を見せ、気の強さもうかがえます。

 そんな2頭ですが、屋内プールではバリエーション豊かな水中での動きを見せてくれます。水中では交尾や出産・授乳を行いますので、将来楽しみで仕方ありません。鼻声を出してコミュニケーションをとり、屋内外や寝室でも声が響きわたります。今は基本的に午前と午後で屋内外入れ替え展示しています。日中は寝ていることがほとんどですが、徐々にお見合いの時間を増やし、良いペアリングができればと思います。2頭が成長し、新たな命をつなぐことを願っています。(カバ・タンチョウ担当 高井正彦)


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