北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

レッサーパンダ*双子の子育てに母さん奮闘   2016/10/24
今年生まれたレッサーパンダの双子。(右から)雄の雷雷(レイレイ)と雌の雲雲(ユンユン)

 今年の旭山動物園はアムールトラ、ユキヒョウ、シロテテナガザルと繁殖ラッシュの夏となりました。そんな中で、私の担当するレッサーパンダも、チャーミンと渝渝(ユーユー)のペアが昨年に続き今年も繁殖に成功しました。昨年生まれた2頭は、屋外で出産してしまった1頭が残念ながらうまく育ちませんでしたが、今年は2頭とも順調に生育しています。

 これで旭山でのレッサーパンダの出産は4年連続となり、いい意味で「マンネリ化」してきたなと感じています。レッサーパンダは絶滅危惧種であり、国内の動物園が協力して血統を管理しながら繁殖を続けている種なので、繁殖が必要なペアに毎年出産してもらうことは国内全体から見ても大事なことになります。

 さて、そんな毎年恒例となってきた子育てですが、今年は双子ということもあり、ちょっと例年とは様子が違いました。昨年までは6月下旬の出産では9月中旬の生後3カ月くらいに子供が屋外に出てくるようになりました。生まれた時、約150グラムだった体重も3カ月で2キロ以上になっていました。

 今年も同じペースかと思っていましたが、やはり双子の子育ては母親にとっては大変だったようで、子供は徐々に体重は増えるものの、思ったような成長曲線とはいきませんでした。また、母親も出産によって減った体重が元に戻るどころか減る一方。餌を増量してもなかなか回復してくれず、毎週の母親の体重測定でもがっかりする日々でした。

 10月に入ってからはやっと体重も安定し、双子もしっかりしてきたので中旬から屋外に出る練習を始めています。何回経験しても同じようにはいかないところに動物飼育の難しさとおもしろさがあります。

 夏期開園中は室内との出入り自由のため見ることの出来ない時間もありますが、ぜひ小さい今の姿を見に来て、成長する様子を楽しんで下さい。(獣医師・小獣舎担当 中村亮平)


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