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旭山動物園わくわく日記

トナカイの赤ちゃん*群れで飼育へ第一歩   2016/07/25
6月に生まれたトナカイの赤ちゃん「リン」(右)。左は母親の和香=旭川市旭山動物園提供

 6月1日にトナカイの赤ちゃんが生まれました。雌で、愛称はリンです。旭山動物園での繁殖は12年ぶり。父親はデナリ、母親が和香で、いずれも昨年6月に新規導入した個体です。トナカイの繁殖期は秋ごろなので来園して4カ月ほどで交尾したことになります。新規導入した動物が繁殖することは、この場所を安心できるところと認めてくれたということでもあるので、飼育担当者にとっては特にうれしいです。

 妊娠を疑い始めたのは2月ごろ。和香の腹部が張っているように見え始めました。最初は気のせいかもしれないと思っていましたが、少しずつ腹部が大きくなり、5月には乳頭も見え、妊娠を確信しました。脱走防止のネット張りや母子用寝室の整備など出産準備の作業を進めていきました。

 トナカイの赤ちゃんは白いと聞いていましたが、生まれた子は茶色でした。小さいけど、顔はトナカイです。そばで和香がしっかりとリンを守り、育てています。父親のデナリが少しでもリンに近づこうものなら激しく追い払います。昨日までは逆にデナリに追われていたのですが、母は強しといったところです。母親のまねをして楽しそうにデナリを追いかけるリンの姿には笑ってしまいました。

 トナカイと同居飼育しているワピチのサチへの態度も心配しましたが、リンとサチが接近しても不思議なことに和香は怒らないのです。リンはサチを気に入ったのか、足元をうろちょろし、サチは見守るだけ。サチは過去にたくさんの子を産み育てたベテラン母なので、トナカイの子を見て懐かしくなったのかもしれませんね。和香もサチを認めているのでしょう。

 こうしてリンは両親とワピチのサチに見守られながら、現在、すくすく元気に成長しています。デナリも近づくことを許されたようで、最近は親子3頭でいる時間も増えてきました。

 本来、トナカイは群れで生活する動物です。当園でも将来的には小さな群れで飼育したいと考えており、今回の繁殖はその第一歩となりました。(トナカイ・ワピチ担当 佐橋智弘)


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