北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

天売島の猫*人に慣れ、里親との出会い待つ    2016/03/28
天売島から保護、徐々に人に慣れてきた「チロル」=旭川市旭山動物園提供

 昨年6月、旭山動物園内のこども牧場に、天売島から「チロル」と「ひじき」という雄の猫2匹が来ました。天売島では、海鳥を守るため、増えてしまった猫を保護、人に慣れさせ、里親を探す取り組みを行っています。環境省、羽幌町、道、北海道獣医師会、猫の保護団体が協力して、「人と海鳥と猫が共生する天売島」連絡協議会を立ち上げており、旭山は昨年から、この取り組みに参加しています。

 来園してきたばかりの2匹は人が近づくだけで攻撃的な声を出したり、ケージに手を近づけると前足を出してきたりと、全く人を信用できない猫でした。

 こども牧場のスタッフが2匹に声かけをしたり、そっと様子を観察したり、たまには猫のおもちゃで遊んだりと、徐々にですが、距離をつめていきました。

 3カ月たったころから、チロルは触ることができるようになり、人を信用してくれるようになりました。今では、ケージの外に出ると、すぐにスタッフの方に駆け寄り、触ってもらえるよう自分をアピールしています。抱っこをされることにも幸せを感じています。

 一方、ひじきですが、攻撃的な声はすぐに出さなくなり、約半年後には餌皿を人が持って与えることができるようになりました。ただ、触られることはあまり好きではない性格なので、タイミングを計りながら触っています。ケージの外に出ても人を気にしながらですが、探検もするようになりました。

 2匹は、6日に旭山で開いた「シンポジウム&譲渡会」で皆さんの前に出ました。新しい里親さんを待ちましたが、残念ながら見つからず、今後もこども牧場で飼育を続けていきます。

 旭山で再び譲渡会を行う予定ですが、時期は検討中です。里親さんには、チロルと、ひじきの「いのち」を最後まで見ていただきたいです。そして、天売島の猫を飼育することをきっかけに、天売島の自然や動物のことを私たちと一緒に伝え続けていければと考えています。
(こども牧場担当・佐賀真一)


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