北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

クマタカ*ひな、スクスクと成長    2015/06/08
巣の中にいる雌と、ひなを守るために、にらみをきかせる雄のクマタカ

 北海道産動物舎にいる絶滅の恐れがある大型猛禽(もうきん)類クマタカ。園内では6羽を飼育、うち雄、雌のペア1組とひなの計3羽を公開している。ひなは5月14日にふ化したばかり。国内の動物園で繁殖中のクマタカのペアは旭山動物園だけで、旭山では3年連続で、ふ化したひなが無事育っている。飼育員の大内章広さん(30)は「年に1回、1個の卵しか産まないクマタカの子育ては1回が勝負。このペアは安定しているので、このままうまくいってほしい」と期待する。

 昨年(2014年)11月、ペアの飼育スペースが現在の道産動物舎に変わった。「猛禽類は神経質。繁殖は、2~3年は難しいだろうと思っていた」(大内さん)。しかし、予想に反し、3月下旬に産卵。大内さんは親を刺激しないように、少し離れた獣舎の屋上から双眼鏡で様子を確認した。「早く順応してくれてよかった」と胸をなで下ろす。

 これまで旭山ではクマタカの飼育に苦労してきた。初めて卵がふ化した2011年は、親がえさを与えることができず、ひなはふ化後6日目で死んでしまった。このため、13年のふ化後には、飼育員が巣内に入ってえさを与える「介添え給餌」を実施。親が子育てに慣れたため、翌年はふ化したひなに親が直接餌を与えることができた。今年もふ化に成功、飼育員のきめ細かな観察と創意工夫が成果につながっている。

 クマタカは肉食で、ヒヨコ、ウズラ、馬肉を与えている。1日の食べる量は、ウズラ1羽、馬肉200グラムほど。野生の生活に近づけるため、不定期にえさを与えていたが、ひながいる間は1日2回、毎日与える。雄は巣の近くで周囲を警戒、えさを与えるために大内さんがフェンスを開けると低く飛んで、威嚇するという。

 ひなは、ペアに守られて順調に成長中。ふ化後、約70日で巣立ちを迎える。大内さんは「7月上旬には、ひなが巣内を動き回る姿が見られるはず。カバ、キリンなどに目が行きがちですが、珍しい動物は他にもたくさんいます」と話している。(古谷育世)


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