北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

ワオキツネザル*5頭加わり予想外の順位変動     2014/09/01
長い尻尾をもつワオキツネザル(旭山動物園提供)

 愛知県犬山市の日本モンキーセンターから7月23日、ワオキツネザル5頭がやってきました。旭山動物園のサル舎にはルドルフとエリザベスというワオキツネザル2頭がすでにいます。野生のワオキツネザルは5~30頭ほどの群れを形成します。より野生の状態に近づいたことになります。

 とはいえ、いきなりルドルフとエリザベスと同じ空間に新入り5頭を放つわけにはいきません。けんかしてしまっては大変です。まず、おり越しにお見合いをさせます。特に問題もなく、翌日には同居で展示することができました。

 ワオキツネザルの社会は厳格な順位制です。当初の予想では、雄の1位は精悍(せいかん)な顔つきをした新入りのレモン、雌の1位は勝ち気な先住のエリザベスになると思いました。しかし、いざ同居を始めると、いつもエリザベスの尻に敷かれていたルドルフが雄の1位に、そしてなんとエリザベスは雌の最下位になりました。1頭1頭の関わり合いを見ると、どういう関係、どういう順位なのかが見えて、とても興味深いです。ぜひ個体識別してワオキツネザルの社会性を知ってもらいたいと思います。

 また、雄3頭、雌4頭の計7頭になったことから繁殖も期待したいところです。私がサル舎の担当になって3年。エリザベスとルドルフとの間に交尾はあるものの、妊娠・出産には至っていません。エリザベスの年齢も気になるところですが、群れ飼育が刺激になり、新入り雌だけでなく彼女の妊娠・出産も願っています。

 赤ちゃんは親と同じ模様で生まれてきます。生後2週間ぐらいすると、お母さんキツネザルは赤ちゃんをおんぶするようになります。おんぶする姿は想像するだけで、ほほ笑ましいです。動物園での出産シーズンは3~5月。来春が楽しみです。(サル舎担当 奥山英登(ひでと))


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