北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

シロテテナガザル*子育て、成長の様子見て     2014/08/18
シロテテナガザルのモンローと、生まれた赤ちゃん(旭山動物園提供)

 昨年11月末にシロテテナガザルの担当になり、あっという間に8カ月がたちました。担当になって間もないころ、来園者から「今はテナガザルからいろいろと教わっているのですね」と言葉をかけられましたが、8カ月たった今でも彼らから教わることが多いです。しかも6月12日に雄の赤ちゃんが生まれ、新鮮な日々を過ごしています。

 テナガザルの妊娠期間は約7カ月。担当してすぐ雌のモンローが妊娠したことになります。シロテテナガザルの性成熟は6~8歳で、5歳のモンローの妊娠はまだ早いと考えていました。テナガザルの性周期は27日間くらいで、11月に生理があったことを前任者から聞いていました。

 それ以後は生理を確認できず、妊娠検査もしましたが、反応は出ません。生理の出血は自らきれいになめてしまうと聞いていましたが、見逃しているかも?―と不安になります。

 それでも徐々におなかの膨らみが目立ち、もしかしたら6月に出産するかも?―と考えました。そう思い始めると、出産日はいつ? 赤ちゃんは無事に生まれる? 初産のモンローは子育てできる?―など不安が次々に湧きました。

 実際は7月1日の北海道新聞旭川・上川版で報じられたとおり、無事に出産。育児もしっかりしています。元気な赤ちゃんとモンローの見事なお母さんぶりに、ひとまず安心です。

 赤ちゃんはモンローに似て毛が薄茶色です(父テルテルは黒)。もうすぐ顔と手足の白い毛も生えてきて、ますますシロテテナガザルらしくなるでしょう。テナガザルは熱帯雨林で2~4頭の家族で暮らします。雄親も子育てを手伝い、子供が独立するまで森で生きていく術(すべ)を教えます。親子3頭の暮らしぶりを動物園でお見せすることができ、うれしく思います。

 テナガザルの出産は普通2~3年ごとで、何度も見られるわけではありません。私にとっても経験と勉強の機会です。ヘトヘトになる日もありますが、テナガザル家族と一緒に過ごせる貴重な時間を日々かみしめています。(飼育担当 田中千春)


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