北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

オオタカの訓練*主人に仕える気持ちで     2014/04/21
大内さんの手に止まるタカ(2010年撮影)

 旭山動物園は2012年1月まで冬期開園中に「ワシタカを学ぶ会」を開いていました。鷹匠(たかじょう)の技術(放鷹術(ほうようじゅ つ))を応用してトレーニングしたオオタカが自在に飛ぶ姿を来園者に観察してもらい、猛禽(もうきん)類の生態や現状を知ってもらう催しです。人気を集める「ペンギンの散歩」の陰に隠れていましたが、冬の旭山を代表するイベントで、もう10年ほど続いていました。しかし、タカを飛ばしていた野外ステージ周辺の工事のため開催できずにいました。

 猛禽類のトレーニングは時間のかかるもので、例年であれば換羽(かんう)(羽の生え換わり)の終わる9月ごろから始めます。トレーニングは段階があります。《1》タカを人に慣れさせる《2》人の腕に止まるようにする《3》外の空間、状況に慣れさせる《4》呼んで戻ってくるようにする―の4段階。これを約2カ月間、1日1~2時間かけて行います。

 相手は野生動物。いきなりタカを外で放しても、どこかへ飛んで逃げてしまいます。焦らずタカと向き合い、一つ一つトレーニングを積み重ねていきます。なかなか思うようにいかず、投げ出してしまいたい時もありますが、タカを主人と思って仕えるような気持ちで接すると気持ちが楽になります。「人馬一体」ならぬ「人鷹一体」になれた時は、ほかでは感じられない充足感があります。

 今年はトレーニングができなかった分、他の作業に取り組みましたが、やはり長年染みついたものは抜けることなく、園内でタカを見たり、来園者から問い合わせをいただくと、タカのトレーニングをしたい衝動に駆られます。

 来シーズンはまた「ワシタカを学ぶ会」を再開したいと考えています。間近で見る彼らの飛翔(ひしょう)を楽しみにしていてください。(飼育展示担当 大内章広)


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