北海道新聞旭川支社
Hokkaido shimbun press Asahikawa branch

旭山動物園だより

海鳥の企画展*天売の現状 考える契機に     2013/05/03
海鳥のパネルを前に「海鳥の現状を多くの人に知ってほしい」と話す佐賀さん

 絶滅の危機にある野生動物の現状を多くの人に知ってもらい、一緒に保全に取り組みたい―。旭山動物園が近年、力を入れる活動の一環として、企画展「海鳥の楽園の今~天売島の現状と課題~」が園内の動物資料展示館で開かれている。

 旭山動物園、羽幌町、環境省が開催。天売島は北海道随一の海鳥の生息地で、世界有数の繁殖地でもある。しかし、ウミガラス(オロロン鳥)やヒメウは絶滅の危機にあり、近年はウミネコも減少している。羽幌町や環境省は以前から海鳥保護に取り組んできたが、本年度から旭山も連携することに。今回の企画展はその第1弾となる。

 会場には13枚のパネルが掲示され、天売島で繁殖する8種類の海鳥の特徴や写真を紹介。生息数減少の原因として、餌の減少や野良猫による捕食などを挙げる。同町は昨年度、「天売島ネコ飼養条例」を制定して海鳥保護を進めており、その活動内容にも触れている。ケイマフリなどの剥製も展示されている。

 同町は同条例に基づき、本年度から野良猫の飼い主探しも始める。この活動に旭山も関わる計画だ。

 町内の北海道海鳥センターでは来館者に海鳥の現状を伝えているが、センター外での啓発は初めて。同センター職員の石郷岡卓哉さんは「町内の活動には限界があり、多くの観光客が集まる旭山で企画展を開催できるのはありがたい」と話す。旭山の飼育展示係の佐賀真一さんは「野生動物の現状を伝え、来館者と一緒に考えていくのも動物園の役割だと思う。今後は海鳥に関するイベントも開きたい」と意気込む。

 企画展は8月15日まで。(中沢広美)


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