北海道新聞旭川支社
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旭山動物園だより

チロと赤ちゃん*おなかにしがみつき移動    2013/03/08
鉄塔を登るチンパンジーのチロと赤ちゃん

 器用に腕を動かし、力強く鉄塔を登るチンパンジーのメスのチロ。おなかには、しっかりとチロの毛をつかんで寄り添う赤ちゃんの姿がある。登り終えると、チロも赤ちゃんを優しく抱きかかえる。

 旭山動物園で1月下旬、チンパンジーの赤ちゃんが生まれた。同園では5年ぶりの出産で、赤ちゃんはチロや父のシンバ、兄のタケルらに愛されてすくすくと育っている。

 その様子を見て、飼育係の丸一喜さん(42)は「最初は心配していたけど、今はほっとしている」と話す。チロは他の動物園から移動してきたが、当時は子育てをしなかったという。飼育下では子供に執着心がないため育児放棄する個体も少なくなく、「チロは旭山に来てから9頭生んだが、みな死んでしまった」。

 7年前にタケルが生まれた時も、最初は興味を示そうとしなかった。丸さんが根気よく抱き方や授乳の仕方を教え、少しずつチロもタケルをかわいがり始めたという。昨秋ころに親離れしたものの、夜は一緒に寝ることもある。

 チンパンジーは現在、2グループの群れを飼育している。夏場は屋外と屋内と交互に展示しているが、冬場は屋内のみ。チロと赤ちゃんも、1日おきに来園者の前に姿を現している。(中沢広美)


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