北海道新聞旭川支社
Hokkaido shimbun press Asahikawa branch

旭山動物園だより

さる山*寄り添い寒さしのぐ    2013/01/11
くっつき合って寒さをしのぐニホンザル

 日増しに冷え込みが厳しくなるこの時期、ニホンザルたちは寄り添って寒さをしのいでいる。もこもこした毛に、うっすらと雪が積もる。お互いにくっつき合う「サルだんご」は冬ならではの行動で、気温が氷点下になると見られる。

 熱帯地方に暮らすことが多いサルだが、ニホンザルは比較的寒さに強いため青森県下北半島にも生息し、「北限のサル」と呼ばれる。旭山動物園が冬に唯一、屋外展示しているサルだ。

 体を温め合うなど協力して暮らすサルたちだが、群れでのルールは厳格。ケンカの強さなどから、一頭一頭の順位はしっかり決まっている。

 トップのサルは「ボスザル」と呼ばれることも多いが、「群れを統率することはないので、旭山では現在、ボスザルとは呼ばない。第1位ザルと言います」と飼育担当の鈴木悠太さん(24)。では、順位は何のため? 鈴木さんは「おいしい餌があった時に優先的に食べる。順位は、食べ物をめぐって争わないよう、群れを安定させるための仕組みなのです」と解説する。

 さる山では昨秋、第1位オスが交代した。約5年間トップだった「リュウスケ」が、2位の「ホワイティー」と3位の「コシロ」が協力して仕掛けたケンカに敗れて死亡したためだ。第1位になって悠々と歩き回るホワイティーは、少し貫禄を増したように見える。

 鈴木さんは「どのサルの順位が上か、よく観察するとしぐさで分かる。そういうことを考えながら眺めても面白いですよ」と笑顔を見せる。(中沢広美)


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