北海道新聞旭川支社
Hokkaido shimbun press Asahikawa branch

旭山動物園だより

モンロー仲間入り*絶滅危惧種 子宝に期待     2012/08/03
同居に慣れ、寄り添う様子を見せるようになったシロテテナガザルのモンロー(右)とテルテル

 旭山動物園の「てながざる館」に、雌のシロテテナガザル、モンロー(4歳)が仲間入りした。雄のテルテル(12歳)、その息子マモル(2歳)と追いかけっこをしたり寄り添って毛繕いをするなど、人間の家族を思わせる様子が来場者の人気を集めている。

 モンローは長崎の九十九島動植物園から6月に来園。薄茶色の毛並みの“ブロンド美人”で、先客の2匹とは寝室での対面を経て室内での同居、屋外での展示を始めた。

 同居後はテルテルがモンローの後ろ肢にかみついて傷を負わせるなどトラブルもあったが、次第にうち解けてきた様子。まだ若いモンローはテルテルの積極的なアプローチから逃げることもあるが、飼育展示係の大西敏文さん(38)は「数年後の生殖年齢に達したら、すぐに赤ちゃんができるでしょう」と相性の良さに太鼓判を押す。

 シロテテナガザルは大きな群れをつくらず両親と子どもで暮らし、子どもは大きくなれば親のそばを離れる。雌は数年に一度しか子を産まず、何年もかけて大切に育てる。人間と似ているが、原産地の東南アジアでは人間のジャングル開発によってすみかを追われ、絶滅危惧(きぐ)種に指定されている。

 日本国内の動物園には現在計約80匹のシロテテナガザルがおり、繁殖目的の貸し借り「ブリーディングローン」で施設間の移動が行われている。旭山にやってきたモンローについて、「子宝に恵まれ幸せに暮らせるよう、しっかり手助けしていきたい」と大西さんは話している。(田辺恵)。


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