北海道新聞旭川支社
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旭山動物園だより

ライオン夫婦*5年ぶり同居 絆強まる     2012/05/11
5年ぶりに同居し、のんびりと過ごすライオンのレイラ(右)とライラ

 メスのレイラが大きなあくびをする様子を、夫のライラが見つめる。温かい午後の日差しを受け、ライオン2頭がのんびりと過ごしている。

 夫婦はこの春、約5年ぶりに同居を始めた。飼育担当の高橋伸広さん(37)は「2頭の距離は少しずつ縮まってきている」と見守っている。

 もうじゅう館で飼育されているライオンは16歳のライラ、17歳のレイラと2頭の子供で6歳のオスのアキラ。3頭はこれまで1頭ずつ屋外展示されてきた。夜間に過ごす飼育スペースが限られており、子供を産まないようにするためだった。

 だが、ライオンは本来、群れで生活する。夫婦とも人間でいえば60~70代で繁殖の力が落ちていることや、アキラのもらい手もつきそうなため、自然の姿に近づけようと同居再開を決めた。

 2頭を一緒にしたのは、本年度の夏期営業が始まった4月28日。久々の対面にライラは戸惑い、レイラは至近距離に近づくのをいやがった。2週間たった現在は距離も縮まり、高橋さんは「最初からこんなうまくいくとは思わなかった。赤ちゃん誕生にも期待したい」と話す。

 「ガオー」と1頭が泣くと、すぐさま別の2頭が「ゴアー」「ガオー」と泣き返す。裏にある寝室からも声が返ってくる。仲間の居場所を確認しあう「鳴き交わし」で、家族の絆を確かめるようだ。百獣の王らしい勇ましい声は心臓にまで響いてくる。

 当面、午前中はアキラを、午後はライラとレイラを展示する予定。(中沢広美)


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