北海道新聞旭川支社
Hokkaido shimbun press Asahikawa branch

旭山動物園だより

冬眠する生き物たち*寒さ再現 ヘビ、カメ観察     2012/02/03
冬眠中のアズマヒキガエルについて説明する白木さん

 土の中でじっと息を潜めるアズマヒキガエルやアオダイショウ。葉っぱに覆われた水槽のなかで静かに過ごすニホンイシガメ―。旭山動物園の「両生類・は虫類舎」ではこの冬、カエルとヘビ、カメが冬眠する様子が間近で観察できる。「自然では当たり前だが、動物園の展示では珍しい姿ですね」と、担当する飼育展示係の白木雪乃さん(31)は話す。

 両生類やは虫類が冬眠するのは、体温が外気温に左右され、冬の寒さに対し自分で体温を維持できないため。冬はエサも少なくなることから、できるだけ動かない冬眠状態でエネルギー消費を最小限に抑えて、春を待つ。

 ところが、動物園の冬は暖房もエサもあり、通常は冬眠に入ることはないという。「だからこそ、生き物がどのように冬眠するのか見せられないか」と白木さんは考えた。

 今回は、アズマヒキガエルなど3種類を“代表”に選び、飼育ゲージに外気を取り込んで冬の寒さを再現した。旭川は氷点下に冷え込む日もあるため「夜中に凍り付いたりしないよう、天気予報に気を配った」という。

 さらに、ゲージに土や葉をかぶせたり、光が当たらないよう目隠ししたりなど、試行錯誤で冬眠の環境作りを進め、1月までに冬眠状態に入った。「春まで起こさないよう、静かに見守ってほしいですね」と白木さん。

 両生類・は虫類舎で飼育する生き物のほとんどが道内の自然に生息している。白木さんは「私たちの身近にも冬眠している両生類やは虫類がいるかもしれない。展示を通じて、少しでも関心を持ってもらえたらうれしい」と話していた。(鈴木雄二)


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