北海道新聞旭川支社
Hokkaido shimbun press Asahikawa branch

旭山動物園だより

10年目の外来生物展*実態紹介し問題訴え    2011/09/30
「旭川近郊の外来生物の現状を多くの人に知ってほしい」と話す中村さん

 旭山動物園の動物展示資料館などで開催中の企画展「北海道の外来生物の現状展2011」。道内に生息しないはずの外来生物の実態について伝える取り組みで、今年で10回目を迎えた。

 「わあ、カエルだらけ!」。展示室前のいけすをのぞき込んだ来園者が驚きの声をあげた。中には、職員が市内で捕獲してきた約100匹のアズマヒキガエルが飛び跳ねている。

 「本来は北海道にいない種類のカエル。それが旭川でも一晩で、こんなに捕まえられます」と、中村亮平獣医師(30)が説明する。外来生物の問題に警鐘を鳴らす目的で始まった企画展は今年も、趣向を凝らした展示で、来場者に問題意識を抱くよう訴える。

 身近な自然に生息する生物にも、人為的に持ち込まれた外来種は多い。カエルのほかにも、ペットから野生化したとみられるアライグマやカブトムシ、農業の受粉に用いられているセイヨウオオマルハナバチなどを例示。生態系への影響や生息域が拡大する実態、駆除などの取り組みなどを、パネルや生物の展示などで紹介している。

 また、中村さんが担当するアライグマがいる小獣舎に在来種のタヌキを並べて展示して、互いに見比べてもらう工夫も。中村さんは「動物の面白さとともに、外来生物という現状を知ってほしい」と話し、「人と自然のかかわりを考えるきっかけとして、企画展は今後も続けていかなければ」と強調した。

 企画展は夏期開園が終わる11月3日まで。職員による展示解説も不定期に実施しており、日時は動物園のホームページなどで告知している。(鈴木雄二)


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