北海道新聞旭川支社
Hokkaido shimbun press Asahikawa branch

旭山動物園だより

パネルシアター*自然との関わり 考える機会に    2011/08/05
幼稚園児たちとカラスとの関わりを考えたパネルシアター

 子供たちに身近な自然や野生生物への関心を高めてもらおうと、「パネルシアター」と呼ばれる教材を用いた幼児、児童向けのユニークな出前講座が今夏から始まった。市民団体「人と野生生物の関わりを考える会」(考える会)が企画。趣旨に賛同し全面協力する旭山動物園も「人間と自然の共存を考える良い機会になる」と期待する。

 7月20日、道教大付属旭川幼稚園の園児向けに開かれた1回目のパネルシアター。身近な野生生物の代表格・カラスがテーマだ。舞台中央に置かれた白いパネル上で絵人形を貼り付けたり動かしたり、カラスに扮した考える会メンバーが寸劇を演じたりした。

 ある朝、カラスがごみ捨て場でごみを食べ散らかしていると、住民が「町を汚しやがって!」と怒る-。寸劇を見ていた子供たちに、メンバーがこう問いかけた。「本当にカラスが悪いのかな?」

 その上で、ごみ捨て場にカラスよけの網をかけることで防げることや、本来カラスは虫を食べ森や町を掃除する存在であることなどを紹介。幼児からは「カラスがよく分かった」と反応は上々だった。

 人と自然のあつれきという一見難しいテーマだが、事務局長を務める旭山動物園の福井大祐獣医師は「自然のルールを知ることなどを理解してくれたのでは」と手応えを感じる。発案者で考える会の池野由似さんと原田幸枝さんも「スズメやアライグマなど、他の野生生物にも広められれば」と話した。

 考える会では、このパネルシアターを今後月1回程度開きたい考えだ。問い合わせは旭山動物園(電)0166・36・1104へ。(鈴木雄二)


戻る