北海道新聞旭川支社
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旭山動物園だより

「てながざる館」*人間そっくり 家族模様    2010/10/01
シラコから離れ、おりにしがみつくシロテテナガザルの赤ちゃん・マモル

 6月に生まれたシロテテナガザルの赤ちゃん(雄)の名前が「マモル」に決まった。名前の公募には道内外から1757通の応募があり、「森を守る」という意味を込めた旭川市の駒津壮一朗くん(4)が名付け親に選ばれた。

 マモルは体長二十数センチに成長。生まれたばかりのころは毛の色が茶一色だったが、現在は黒い体毛に顔周りと手足が白く、すっかりシロテテナガザルらしい姿になった。お母さんの「シラコ」に抱かれていることが多いが、時折離れておりをよじのぼる姿も見られる。

 担当の飼育展示員、大西敏文さん(37)は「名前が付いたことで、より愛着を持ってもらえる。家族関係をじっくり見てほしい」と話す。

 昨年8月に新築した「てながざる館」にはシラコ、マモルのほか、お父さんの「テルテル」、マモルのお兄さん「コタロー」がすむ。観察すると、子どもから餌を奪って独占するテルテルをシラコが怒ったり、テルテルがマモルを抱いてあやしたりと、人間の家族にもありそうな光景を見ることができ面白い。

 大西さんは新施設ができて1年足らずで繁殖が成功したことにも喜ぶ。「動物は話せないから、こちらが用意した環境が居心地良いかどうかはわからない。繁殖が飼育員への最高の答え」という。

 シロテテナガザルと「同居」している小型のシカ、キョンも6月14日に出産したが、こちらには名前を付ける予定はないという。

 キョンは本州で野生化し、急激に数を増やしている「特定外来生物」。大西さんは「ペットのように愛着を持ってもらうよりも、一線を引いて野生動物とのかかわりについて考えてもらえれば」との思いだ。(田辺恵)


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