北海道新聞旭川支社
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旭山動物園だより

教師が研修中*生死に接し命の重さ実感       2010/01/08
にこやかな笑顔で来園者にエゾシカの話をする脇坂さん

 「そちらの真っすぐな角を生やしたシカが昨年生まれた雄、マカロニ君です」。エゾシカの森で「もぐもぐタイム」の解説をしているのは、旭川市立向陵小学校教諭の脇坂文貴さん(32)。

 3月末まで1年間、長期社会体験研修として飼育展示係に配属されている。

 教師が民間企業などで本格的な異業種体験を積み、学校に戻って授業に生かす制度。

 旭山動物園は、教育活動も事業の柱の一つとしていることから学校教育との連携も図ろうと、今回初めて研修の受け入れ施設となった。

 脇坂さんはエゾシカの担当として、朝から飼育舎の清掃や餌やり、健康状態の点検にいそしんでいる。エゾシカの個体の識別は「(角のある)雄はいいんですが、雌は怪しいですね」。雄は角の形状で見分けるが、雌の場合は体格や表情、性格などを手がかりにするそう。

 もぐもぐタイムは6月から始めた。教育活動担当として、動物園を訪れた小中学生を案内することや、ウサギやモルモットを連れて小学校へ出向き出張授業をすることもある。

 エゾシカの誕生に立ち会ったときは、1時間もすると立つ姿にたくましさを覚えた。一方、ミナミシロサイの死亡にも接し、生死を身近に感じている。

 脇坂さんは「学校に戻ったら、いろいろな機会で子供たちに命の重さを伝えたい」と考えている。(熊井君予)


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